十一、竜神と人との関係

 竜神は縁故深く敬わねばならぬもので、上位の神の命を受け、守護にも来れば罪も裁く、又、種々な役目にもつかれて居る。霊位を得るための行をして居られる神の一種である。実体は蛇に似て居るが、構造が違っていて、神通力を得、肉眼では、普通見ることが出来ない。何かの知らせか、障りを起す前又は使いの途上、行に破れて姿あらわれ見せる場合が多い。神域や彼等の居住の場に於て、又は竜王級最上位を得たものは、実体を見られてもその神通力を失うことはない。但し、行の失敗に於てはそのかぎりでない。いずれの場合にせよ、彼等の姿を見たらろくなことはない。頭が少し「ハート」形で頬がふくれて居る。姿が大きく出た時は、尾が太丸くぷっつり切れて居て、二つにも、三つにも裂けて居るものもある。この様な姿のものを見附けた時は、石を投げたり、危害を加えてはならない。小さい姿の時は絹はだのようで綺麗だ。蛇の子とまちがえる。南無忠孝妙法典と称えて「竜神様、けががあってはいけない、姿をかくしてくれ」と言って置き、祭神供養法によって詫び、或は救って置けばよい。

 蛇か竜神かを見分けるには、頭と尻尾を見る。小指大にあらわれた時は皮が絹はだで艶がある。毒蛇とまちがえぬ様、毒蛇は太短かく、竜神は細長い。大きな時は、鱗ががざがさで大蛇型、蛇の鱗はなめらかである。姿を見た場合には、遅くても満三年後までには何かの形で難が来る。この神に関連ある方は、夢を見る。守護の場合も、裁きの時も。

 蛇に追われる夢、巻きつかれて苦しかった夢、蛇がうようよ沢山いて気持ち悪かった夢、そうじて気持ち悪かった夢は神罰を受けて「竜神が汝の罪を裁きに行っておるぞ」との夢支配の神の知らせであり、一匹の竜神が背中に乗せてくれたり、からだやふところに這った夢、家の内に飛びこんだり、昇天したりした夢は守護に来た知らせか、守護して居るぞとの意であり、去った夢は守護をはなれる夢知らせで、複数の場合又は異形の場合は逆である。 罰を受けて居る場合には、罪の原因を知って、忠孝妙法典を称えて「竜神様、今まで気附かずにいて、誠にすみません、今後信心して、悪い処は改めますからお許し下さい」と詑び、本心から、罪を謝し改めることが肝要である。

 変な夢を見た、夢は五臓の疲れだなどと放って置くと、年期を切って、裁かれ、取り返しのつかない破目になる。竜神に危害を加えて居る場合等には、傷つけた部分と同じ処から発病しておる場合が多い。危害を加えたり、又、姿を見た日から一、三、五、七と言う様に日月年と満を以って年期とする。半年目、十、三十、五十も年期である。この年期に当る時から発病したり、怪我したり、事業に失敗などする。医薬の効かない時等には、過去を振り返って見て、姿を見たことはないか、あやめたことはないか、気持ちの悪い蛇の夢を見たことはないか等、思い起して見る必要がある。

 竜神は、神命によって、種々の現象、作用等をも支配する。神通力によって姿を見せることなく、命ぜられた役目に於て守護し、又、罪を裁き、又、指導の役目をも果さねばならない。故に人界に対しては何事も与えられた役目に於て信心しても、しなくても、守護すべきは守護し、裁くべきは裁く、役目が終れば位を得て、立ち帰る。物質や物を造るに必要な精(ショウ)は、神の命を受けて、竜神が運んで居る。造物主から受取って、胎児を固める精(ショウ)で造った姿形等も運んで来る。

 竜神に守護されて居る間は、何事も自分の思うままに成就して、立身出世も鰻上り。守護を離れると、すべてが意のままにならぬ様になり没落する。守護されて居ると、自分に力は無くても他人が守り立ててくれ、お金等も人が作らせてくれる。自分の力だと満心して居ると、その罪によって守護は離れる。その様な場合には屋敷内か家屋内で、彼の実体を見せるか、夢で去る知らせをする。汝達は、神達の守りを認知して感謝し、己れの欠点を改める様努力し、神の許可を得た竜神が、末代までも守護の責任者となって来る様な運命の持主である人になって戴き度い。この場合、竜神は汝と運命を共にする破目になるが、竜神の修行に対する途は非常に楽になり、途中で行に破れる様な心配はなくなる。

 それ故、竜神は己れの行の半分をその人に与えるのが常で、その人の運勢は急にのびることになる。余程見込まないと、竜神達は守護神となる役目を嫌う。但し、人間に気附かれた以上は、その者の守護神とならねばならない。神の居ることを認めさせた功績によって、位は上がるが、指導をまちがえると、天罰を受ける。守護したが慢心して、恩も知らず悪に染った時は守護神の責任に於て、その罪を裁き、苦難を与えて悟らせ、善導に導かねばならぬ。万一、不可能とみた時は全力をあげて、その裁きをなし、総てを清算して、支配の神に詫びなければならない。

 そのために、一家の全滅もあり得る。又、前世からか何かの約束で守護した場合には、信仰心は無く、守護など認めない時でも、約束の期間だけは特別に守護し期間が終ると同時に守護を認めなかった罪を裁く。その裁きが終った時、その竜神の命ぜられた役目は終る。この場合、夢支配の神は盛んに夢を見せて警告する。夢は、その守護に当った神の系類によって、それに因んだことがらを判じものとして見せる。水神、井戸神、荒神等に対する罪なども竜神が使わされて、その罪を裁くので、どんな神に対する罪でも、竜神の関係せぬものはないと考えて差しつかえはない。竜神が使いの役目の途上、行に失敗して実体が出た場合には見た人に救いを求めるので、祭神供養法によって救ってやる必要がある。縋られて気なしに居ると、見た日から年切って、大難が来る。その竜神と同様な運命を取らされるので注意した方がよい。危害を加えた場合には、命を取られたり、不具等にされる様な大難が来るので、真心から詫びて供養法を用いた方がよい。

 竜神は主に、天然の池、河、海、大木の根本、清水の湧く場所等水気の多い場所を好んで、彼等の棲家として居る。池の辺りや海辺の砂浜、景色のよい崖下、草叢等は彼等の最適の休み場となって居るから、高い岩上等から小便等すると、怒りにふれて、九年も十一年もの後に、命を落す様な大病や大災難を受けさせられることになるので、気を附けねばならない。

 神域のほとりで、小便して大熱を出した人もある。出入の竜神が、とばしりがかかったと言って怒って居た。使いの行に失敗した竜神を救ってやったら、実体がぱっと消えた例もある。恩を返されて、その人は成功して居る。殺されて居るものを供養法によって救っても、その恩が返されて居る。不幸続きの人を調べて見ると、蛇の夢ばかり見せられて居る者が多い。

 守護の知らせの夢なら、決して恐くも気持悪くもない。この様な夢を見て居る時代なら運勢は飛鳥も落す勢で向上し、何をやっても当る。この様な時から南無忠考妙法典と称えて、守護から見放されない様にすべきである。気附かずに居ると逆が来る。竜神は往々使いの途上で、物に見蕩れたり、水が呑みたかったり、柿、蜜柑、無花果、桃等の果物の香いや美しい花等に心うばわれて、神通力を失せ、行に失敗する。そのため、昔から屋敷に果物の木を植えると、不吉が来るなどと言われた。竜神の供養法を知って居れば、さしつかえない。神通力の失せた竜神は、最早、神としての位は失ったのであって、普通の蛇と同様、自在に神通力を以って宙を飛ぶことは出来ない。

 この様な場合には、人間に殺させたりして、実体を捨てようとする。そして発見者を己れの行に失敗したことは棚に挙げて、おおむね、怨み障りを起すのが常である。また人間は障られないと気附かぬから、これも致し方があるまい。彼等としては、人に神であると認められる以外は、救われる途が無いのである。この掟も神達が人間に神が居ることを知らすために定めた竜神に対する行の法則であるから、竜神が行に破れて、人に障るのも、世を善導化する一つの手段になるだろう。

 竜神は失敗しても、人に神であることを知らせ供養されさえすれば、元通りの神通力は返されるのであるから、実体などは無くなっても霊位さえ得ればよいのである。実体を顕わした竜神を拾って来て、信者一同、円座の中で三方の上に実体を置き、私の教えた教典を称え終って、拍手の音と同時に忽然と実体が消えたことがある。三方の上下を調べたが、何処にも居なかった。又、出る処のない箱の中に入れて、教典を称えたが、中はもぬけの空になって居た。勿論竜王級のものである。

 神通力は電元子を自在にすることが分らぬ人には、このことは分るまい。そんなばかなことがあるかと云うだろう。竜神は行に失敗して人に産らされ、行をやりなおすこともある。その一例を記して置く。

(一)人間に落ちた安姫(やすひめ)の昇神
 

天元教 第一編

一、唱題 南無忠孝妙法典

二、教典 忠孝妙法典

三、序 文

四、霊や神達は居るか

五、大自然は魂魄、言葉、電素に依って活動する

六、霊と香い

七、虫のよい人間たちの多いこと

八、面白く操られて居る人間界

九、油断と満心は汝の行の禁物

十、竜神及び稲荷の行

十一、竜神と人との関係

(一)人間に落ちた安姫の昇神

十二、稲荷と聖天

十三、水神と井戸神

十四、家相の難除け

十五、地鎮祭

十六、丑九十度清浄圏と未申清浄圏

十七、八柱の荒神

十八、八荒神と水神守護の分布

十九、毘沙門

二十、思ひ除け人形法

二十一、思ひと恋慕

二十二、神の思ひ

二十三、仏 霊

二十四、念霊(生霊)と死霊

二十五、人体に憑く動物霊と供養

二十六、樹木や岩に棲む霊と供養

二十七、金神(こんじん)供養

二十八、執念(しゅうねん)供養

二十九、行体の繁殖とその霊及び寄生霊

南無忠孝妙法典
天元教機関紙
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