二十一、思ひと恋慕(れんぼ)

 甲が乙を恋い慕う時、乙に大きな心波の影響を受ける。此の場合、乙側の現象を「思ひ」と名附け、甲側に起る反動現象を恋慕と名附ける。

男女の恋愛破綻や片思い、一目ぼれ、慕い等から起る場合が多い。

今此処に若い男女が居て、その就れかが恋して居たとする。夫婦になれずに、恋された方が他の者と結婚した、例え本人は気附かずとも、恋された方が結婚した時を起点とし、年期を切って災いを受ける。これを思ひの難と云い、恋心を持った方は恋慕の難を受ける。相思の場合だと、「思ひ」と「恋慕」が二重に重なるので、災が大きい。

思ひが来て居ると相手の夢を見る、又甚いのは妻の顔が相手の顔に見えたりする。未だ甚しいのは、妻の名を呼ぶのに恋された人の名を呼ぶことすらある。此の様になると、其の都度、家族の者が病気したり、事業も失敗する。

 夫婦間がつめたくなり、円満に行かなくなる。何回結婚しても、破綻に終る結果も生じる。
甚く他人を恋した場合には、自分の縁談が来なくなり、土地を遠く離れて、旅立つ場合が多い。又、口にも出さず一生独身で終る様な場合も多々ある。

又、他人を甚く恋したことがあると、本人や家族の者達がよく下の病気を煩らったり、腰の周りに、代る代るかゆみが出たり、又、局部に痛み、ただれをおぼえたり、異状を引き起す。

思ひを受けた人は、知らず知らずに、相手が好きであったものを好く様になり、その人の日常生活まで真似て来ることもある。

某が打ち続く大難や失敗で不審をいだいた。思ひの難であると教えると、「私には、そんな憶えは全々ない。そんな婦人に接触したこと等ない」と言ったが、年は今三十五才、其の当時黒で抜いた、くずれ井桁の模様の着物を好んで着て居た人だと教えると「それならあれかいなあ」「それでは一度行って聞いて来ます。其の人は今京都に居ります。行かれない家でないのだから行って来ます」とて出かけた。

数日後震えあがって帰って来た。「気持ち悪く、ぞっとしました。どうしたらよいでしょうか」と言った。

話はこうである。『その家は従弟の嫁の内である。従弟は上海で死んだ。家を訪ねると玄関におばあさんが出て来るなり「あなたは甚い人だ、ようもようも私達の家に来られた。養子には行かぬと言って、私の家には来ないで、他家に行って、よくも私達をだまして下さった」と、いきなりの挨拶に面喰って居る処へ、其の声を聞いて、奥から娘さん(当時三十五才)が出て来て、「あなたは、よくも私達をだまして下さった」と怨み言。

気持ちが悪いので、従弟の嫁であった妹の方を呼び出して、従弟の墓参に出掛け、車中で「あなたは幾つか」と訪ねると「私は三十三だ」と言う。姉さんはと言ったら「三十五だ」あなたは、くずれ井桁模様のゆかたを持って居るかと、尋ねたら「私は持たぬが姉さんが持って、それを大切にしまって居られます」あなたは私の事を思ったことがありますかと聞いたら「私は何も考えたことはありませんが、姉さんが一時気が狂う程、あなたのことを思ひつめました。それで今でも、あなたを御待ちして、独身で居ります。姉が、かわいそうです」と言われた時は、冷水をかぶせられた様な思いがして身が震いました』と語るのであった。

甚い怨みをともなった思ひであるので、望まれた時から年期年期を思い起して見るがよかろう。彼は過去を振り返って考えて居たが、次の様に語った。

「今年が丁度養子に望まれてから、満十二年です。上海でよく観ると言う評判のある人相観に見て貰ったら、来年は、私の生死にかかわる大難があると言われたので、唯今、兄の紹介で、御相談に来た様な始末ですが、それは先生の言われる満十三年目の年期に当ります。今、考えますと、三年目、五年目、七年目、九年目と大難を受け、昨年は事業に失敗して今の始末です。丁度満十一年目に当って居ります。成程全部が年期にはまっての大難です。何時でもやっと、とぼり附いたと思うとつかのま、丸裸にされ最早疑う余地はありません。お救い下さい」と言った。

人形の法で思ひを流し、成功して沢山の借財等、全部返済して、某神社に寄附したと聞く。

思ひの難によって、気管支喘息、中耳炎、肺病、大熱、震い等の大病を起されたり、発狂等もする。

斯様に今、此処に二人の男女が若い時、互に相思の仲であったか、又は片思ひであって不幸にも種々な事情で、お互に別れ別れになり、夫婦になれなかったとする。他に夫を持ち、又、妻を持ったが諦められず、時々其の人のことを思い出すとすれば、其の都度、其の思ひや恋慕は、年期を引く、互に異なる家を持ってから年期を切って大難が起り、夫婦間が何んとなく親しめず、男は妻を幾度持っても不縁になり、死別したり、家族に病人が絶えず、業を成しても家庭はみじめな形となり、誠の成功は得られない。

財の方も年期を持って大変動が起り、苦しみ多い一生を送る様になる。又、女は何度縁附いても不縁になったり、夫に死別されたり道楽されたり、不和を生じる。又、家には年切って病人が絶えぬ形となり、金のいることばかり続く。成功した、やれやれと思う内に逆転する。苦労に絶え間がない。恋愛の傷手を持って居る人に、夫に不遇、妻に不遇となって居る方が多い。

片思ひの場合は、知らず知らずの間に自分から遠く旅立ち、夫や妻に縁のないものが多い。

思ひや恋慕の難は、他の者と結婚してから年期を切り、多くの場合、夫に思ひあれば妻に、妻にあれば夫に難が来て発狂等する。

思ひの難を除くには、人形法と供養法を用いる。大抵の場合、人形を一回流しただけで思ひに依る病気ならすっとよくなる。七日間流す間に夫婦喧嘩等さされ、突発事故が起る場合が多いので気を附ける必要がある。

恋慕したことのある方は、生殖器の異状や腰の周りの病気、性の忌避症や不感症等になり、家庭の不和を呼ぶ。親にあるため子供が病気する例も多い。神に詫び、恋慕供養法によると難を逃れ得る。万人の思ひを受ける職業もあるので、注意され度い。末路が悪くなる。

 

天元教 第一編

一、唱題 南無忠孝妙法典

二、教典 忠孝妙法典

三、序 文

四、霊や神達は居るか

五、大自然は魂魄、言葉、電素に依って活動する

六、霊と香い

七、虫のよい人間たちの多いこと

八、面白く操られて居る人間界

九、油断と満心は汝の行の禁物

十、竜神及び稲荷の行

十一、竜神と人との関係

(一)人間に落ちた安姫の昇神

十二、稲荷と聖天

十三、水神と井戸神

十四、家相の難除け

十五、地鎮祭

十六、丑九十度清浄圏と未申清浄圏

十七、八柱の荒神

十八、八荒神と水神守護の分布

十九、毘沙門

二十、思ひ除け人形法

二十一、思ひと恋慕

二十二、神の思ひ

二十三、仏 霊

二十四、念霊(生霊)と死霊

二十五、人体に憑く動物霊と供養

二十六、樹木や岩に棲む霊と供養

二十七、金神(こんじん)供養

二十八、執念(しゅうねん)供養

二十九、行体の繁殖とその霊及び寄生霊

南無忠孝妙法典
天元教機関紙
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